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前回「Mr.○○は失礼かも!?北米ビジネスの名前呼びのマナー」で、人の呼び方、マナー、考え方が昔に比べて変わってきているとお話しをしました。その時に触れた、ジェンダーに対する気遣いという点を今日は少し掘り下げてお話しをしたいと思います。
今日のポイント!
1. Mr. Mrs. Miss. Ms.. 使ったらNGは?
2. 性別がわからない時はどうする?ジェンダーニュートラルとは?
3. Preferred Pronouns (自分が好む代名詞)とは?
英語にはMr. やMs. he, sheと言ったgenderedな言葉があります。”Gendered” は男性と女性の区別をつけるという意味の言葉です。前回もお話しをしましたが、ジェンダーに対する価値観や考え方が近年急速に変化している北米では、気をつけなければいけません。
1. Mr. Mrs. Miss. Ms… どれが正解なの!?
前回のブログでは基本的に誰に対してもファーストネームで呼ぶことがアメリカでは一般的だというお話をしました。
ただ、目上と思われる相手をファーストネームで初めて呼ぶにはなかなか勇気のいることですよね。
初めて会った人に対しては、Mr・Msと使いたいところですが、以下の点に注意しましょう。
Miss. Mrs. は使わない!男性は皆「Mr.」 女性は皆「Ms.(ミズ)」
最近のアメリカのビジネス界ではミス(Miss. やミセス(Mrs.)を使う人は稀です。なぜなら、Miss. は未婚の人に使う敬称で、Mrs.は既婚の人に使う敬称ですが、相手のmarital status (結婚しているかしていないか)は個人情報であり、よほど親しくない限り、結婚しているか、していないかを聞くことはまずないからです。
また、“Mrs. Smith”とは本来 “married to Mr. Smith“ という意味で、女性にまだ人権がなかった、“主人”の所有物だった時代を思い起こさせる、とても古いイメージなのです。
夫婦別姓が定着している北米社会では、例えば私が同僚のNorah Jonesの夫「David」に紹介された時、“Hello Mr. Jones” と呼んだり、同じく同僚のMike Connorの妻のKathyを“Mrs. Connor”と呼ぶことが、必ずしも適切であるとは限りません。
この場合は、“This is David” と紹介されたら “Hello David.” と返すのが無難なのです。
2. 性別がわからない時はどうしたら?
ジェンダーニュートラルな表現
昔の英語の教科書で、人が男性か女性かが分からない時はデフォルトとして「HE」を使うように教わりませんでしたか? でも今はそうは行きません。
性別の分からない場合は“HE OR SHE”を使うことも出来るし、一時期流行っていたS/HE と書くことも。もしくはジェンダーニュートラルのTHEY, THEMを使うことも増えています。厳密に言うとTHEY・THEMは複数形ですが、最近は単数の場合にも良く使われるようになっています。例えば、
Karen’s boss told me there was a conference in New York next week and so all the managers will be out of town.
この場合Karen’s bossの性別が分かりませんね。HEもしくはSHEの代わりに使える表現として、このように表現することもできます。
– Did he or she say what day?
– Did s/he say what day?
– Did they say what day?
Preferred Pronounsとは、自分が好む代名詞のことです。ジェンダーに対する考え方が変化する北米社会ではhe/sheと言った代名詞の使い方も考え直されています。中にはHEともSHEとも呼ばれたくない人もいます。
“My name is Sandra and my preferred pronouns are THEY AND THEM”と。女性だけどsheとは呼ばれたくない、ジェンダーニュートラルなtheyで呼ばれたいと。
そう言われた時は、“Okay, sounds great“とまずYESと言って、忘れる可能性があると思ったら. “I will do my absolute best to remember that.” “Please correct me if I make a mistake (or, misgender you)”とスマイルして付け足せば完璧です。間違ったことに気がついた時には一言謝れば全く問題ありませんので、心配しないでくださいね。
また、メールを書いている時も、女性だった相手を男性だと思ってDear Sir や Mr. Smith やheと呼んでしまった経験はないですか?逆に、日本人の名前に慣れていない外国人に間違えられたことがある方もいるかもしれませんね。この場合も同じです。
I am so sorry for assuming you were a man (for calling you Mr. Smith).
My apologies for calling you a HE in my previous email.
と一言謝罪をいれるととても丁寧で良い印象を与えます。
国境を越えると歴史や思想の違いによって、自国では思い付かないような文化や常識があるのですね。
日本での「当たり前」、海外での「一般的」。各国の先生達とのレッスンで、ぜひ沢山の発見をしてください。
コメント
恥ずかしながら学生のとき学んだMrsとMissの違いをすっかり忘れてました。日本は男性も女性も(〜さん)で済むから楽ですね!質問ですが、例えば社内のお知らせとかで「Anna Kellyさんが入社しました」と言いたい時は「Ms. Anna Kelly joined our company」とMs を使うのがオーソドックスでしょうか?
Thank you for your question. はい、カナダの大手銀行での経験から言いますと、Ms.も何も付けず、Anna Kelly has joined our company. Please join me in welcoming Anna to our teamとなります。
Harumi先生、貴重なお話ありがとうございます。”厳密に言うとTHEY・THEMは複数形ですが、最近は単数の場合にも良く使われるようになっています”というのは興味深かったです。この場合、文法的には複数のまま動詞として扱うという認識で大丈夫でしょうか。上記例だと現在形の場合、Do they?で大丈夫ですか。
Excellent question! はい。文法的には複数のままの扱いです。THEY/THEMが使われている時は一人のことなのか一人以上のことなのか、とても紛らわしいです。カナダのテレビではKim’s Convenienceというcomedyがあります。日本のNetflixで見られましたら、Season 4, Episode 1の初めにはちょうどこのような場面があります。コンビニエンス•ストアを営む、韓国からカナダに移住したお父さんが一見女性に見えた人をMissと呼び、娘に注意される場面です。トランスジェンダーの方に”I go by they or them” と言われたお父さんはとても戸惑ってしまうシーンです。機会がありましたら是非お勧めです。
Mr. Ms. をつけておけば丁寧な印象になる、とは限らないのですね。とても勉強になりました。日本人にはあまりない感覚で興味深いです
お返事が遅れました。コメントありがとうございます。ジェンダーに対する対応の変化についていくのもやっとです。カナダでは2019年からパスポート等政府発行の身分証明書の性別欄にM(男性)、F(女性)に加えてX(OTHER)を選択出来ますが、つい先日アメリカでもこの選択が出来るようになりました。ちなみにこの性別欄のM、F、Xはsex markerと呼ばれ、
分かりやすいご説明、ありがとうございます。
最近、違和感を感じるのが、Miss〇〇、Mrs〇〇という、コンテストの名称です。
コンテスト自体にもいろいろな意見があると思いますが、今回はそれはさておき、やるならMs〇〇とすれば良いのにと思います。未婚、既婚で区別する必要があるのか…と思います。
これは海外ではどう捉えられているのでしょうか。
またHarumi先生はどう思われますか。
よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。コンテストとはbeauty pageantと解釈してよろしいでしょうか。遠い昔はテレビで放映されていて、まだ続いていると聞きますが、こちら(カナダ)では話題に全くのぼらないものです。例えばMiss AmericaをMs.Americaに名称を変えるべきではないかというご質問ですが”Ms.” をbeauty contestの名称に使う事はとてもありえないように思います。それは”Ms.”はもともと女性が男性と平等に扱われたいという思いから生まれたので、その考えと女性が水着をして外見で評価されるようなコンテストとは大きな矛盾があるからです。もしMiss AmericaがMs. Americaになったら美人コンテストではなくなり、評価基準が大きく変わると思います。
Harumi先生
早々に分かりやすいご回答をありがとうございます。
おっしゃるとおり、コンテストとはbeauty pageantを指して伺いました。
2018年からミス・アメリカは水着審査がなくなり、参加者の才能や知性、思考力を重視して競うことになったそうです。
また「地球環境保護をコンセプトとし、地球環境問題に真剣に取り組むオピニオンリーダーを輩出する」というコンセプトのコンテストがMissとMrsであります。
beauty pageantのコンセプトは、時代とともに変化しているようですが、これらを踏まえても、Miss Mrsという区別があることに疑問を感じていました。
関連するお仕事をオファーされたことがあり、疑問を感じたままお受けできないと思いました。
わたしの疑問ポイントは、「未婚と既婚を区別すること」でしたが、「Ms」をつけるにあたり、これらコンテストが値するか?という視点を持てました。
ありがとうございます。
はい、ちょっと話題をずらしてしまったようですみません。
昔で言うbeauty contestは水着審査をなくしmodernizeする努力をしているようですが、body imageがとても話題になっている北米では、名称に関わらず人をステージに乗せて主に外見で評価するコンセプトが今の時代はとても”out of touch”とされています。
今はMr.〇〇、シニア用のもの、トランスジェンダーのものもあって一部ではこういったpageantを楽しんでいるようですが、女性にとってはミスコンテストの存在自体が結構ネガティブとみなされています。職場で例えば”Did you watch the Miss Universe pageant last night?”と言ったら必ず誰かに説教されるでしょう。
Harumi先生、丁寧なご説明ありがとうございます。
自分の考えが整理できました。