Live Englishオンライン英会話のブログに今日も訪問くださりありがとうございます。Live English講師のHarumiです。
前回は「Mr. Mrs. Miss」など。文化や歴史の変化で「気をつけなければならない名前の敬称とジェンダーへの気遣い」についてお話をしました。
今回のテーマのポイントは4つです。
さて、私の住むトロントでは新型コロナウィルスの感染防止に、2020年3月あたりからphysical distancing(フィジカル・ディスタンシング)を強制されています。私自身もこの家に住む家族以外の人とそれ以来一度も触れることはなく、つまり、他人とはハグは勿論、握手すらしていません。
コロナウィルスで無くなったヒューマンタッチはビジネスの場面にどんな影響があるかを考えている今日この頃ですが、今回のブログでは文化続きで、海外ビジネス界において大切な挨拶「フィジカルコンタクト」について話したいと思います。
みなさんご存知の通り、海外ビジネス界では初めて会った人、久しぶりに会った人とも握手をします。男性は時折、右手で握手しながら左手で相手の右腕や右肩を軽く叩いたり押さえたりもします。
新型コロナウィルスが発生してからは、人の手に触れることが感染に繋がるということで、握手やハグで挨拶をすることがNGとなりました。その代わりにfist-bump(グータッチ)、elbow-bump(肘タッチ)と色々と工夫をしてなんとか相手と触れ合うことを続けようとしています。
日本ビジネスではハグはもちろんの事、握手もあまり無い文化ですので「そこまでしてタッチをするのか」と不思議に思われるかもしれませんが、それ程フィジカルコンタクトは海外のビジネス文化では大切な挨拶の一部なのですね。
”Maybe we’ll all start bowing like the Japanese” (もしかすると日本人のようにお辞儀をする文化になるのでは)とも言われていますが、実はアメリカ人にとっては人に頭を下げる行為は立場の弱い人がするものと思われているので、常に自分の自信と力(confidence! and strength!)を訴えている国民には考えにくいものなのです。
※以前オバマ大統領がサウジの国王に会った際、頭を下げたか下げなかったかで米国内で大きな波紋を呼んだことがありました。Google it !(グーグルで調べてみてください)
また、女性に多いかも知れませんが、文化によってはちょっと親しくなると握手ではなくハグするようにもなるし、更に他の文化では軽く頬に軽くキスすらします。
私が初対面の人に初めて頬キスされたのは15年前だったと思います。ラテンアメリカの銀行の集まる会議のためマイアミ出張中の時です。いかにもビジネスライクなニューヨークのミッドタウンで会っていたらきっと違っていただろうと思います。しかし、マイアミはラテン系の人が多く、街の大半の人がスペイン語で話しているし、サルサも常に聞こえて来るとてもラテンっぽい雰囲気があり、ついつい癖が出てしまったのかもしれません。
相手はブラジルの銀行で働く日系3世の女性でした。私は普段母とすらハグをしないのに、初めて会ったMs. Tomitsuka- と顔も名前も表面上「日本人」にいきなり大接近され頬にキスをされました。その頃は自分はまだ南米の銀行を担当して日が浅く、予想していなかっただけに戸惑い、心の中では「おい、おい、おい汗」とパニックでした。
まあ、キスと言っても実際(右の)頬で相手の(右の)頬に軽く触れる感じで、唇が顔に当たることはありません。しかし、キスの音を発することはあります。うまく説明出来ませんが「んまっ」という感じでしょうか(映画などできっと皆さんもご覧になったことがあるでしょう)。
ちなみに実際に相手に触れないkissも多く、これはAir kiss(エア・キス)と呼びます。
ただでさえ戸惑っているところ更にややこしいのは、頬キスの回数が国・地域や文化によって一回(右)、2回(右、左)、3回も(右、左、右)と様々なのです。お互い何回キスするのか分からず、一人はキスを続けようと頬を差し出しているまま、もう一人は顔を引いてしまっているというような光景もよく見かけます。
1回だと思っていたのに2回だったり、2回だったと思っていたが3回だったり、”Oh, you do two! (あなたは2回なのね!)” “Oh, you do three!(3回する文化なのね!)” と笑い合います。
コロナウィルスで超有名人となった、ホワイトハウス・コロナウイルス・タスクフォースリーダーのDr. Anthony Fauciは2020年4月にこう言いました。I don’t think we should ever shake hands ever again” つまり「収束後も、もう握手はしないほうがいい」という事です。
現時点では欧米のビジネス文化を考えるととてもイメージができませんが、握手、ハグ、キス等、様々な文化の挨拶時のタッチがなくなったとしたら、やはり寂しい感じがします。新型コロナウイルスの影響はこんなところにも影響しているのですね。
ところで、日本ではお礼、挨拶、お参り、お願いなど様々なシーンで「お辞儀」が活躍します。お辞儀は元々は飛鳥時代〜奈良時代に中国の礼法から取り入れたもので、現代も中国や韓国などのアジア諸国でも見られますが、「会釈、敬礼、最敬礼」と複数の異なるお辞儀の形を持つのは日本だけのようです。
以前ラグビーW杯で、ニュージーランドの選手が他国である自分たちを一生懸命応援してくれた日本の観客に感謝の意味を込めて、深々とお辞儀をしたことが海外のニュースでも取り扱われました。ご覧になられた方は目頭が熱くなる思いをされたのではないでしょうか。
もし海外のビジネスパートナーが日本の挨拶の礼法で挨拶をしてくれたとしたら、とても嬉しいものですね。ぜひ皆様も欧米のビジネス礼法を少しずつ学び、日々のビジネスで実践をしてみてください。きっと良い印象を与える事ができると思います。