Live Englishオンライン英会話の受講生の皆さんこんにちは!講師のHarumiです。
最近、見知らぬ人とメールのやりとりをする際、名前も性別も分からない場合はメールの書き出しをどうするのかと、生徒さんに聞かれました。
とてもいい質問だと思ったので、今日はそれについてレッスンをしたいと思います。
“Dear Sir or Madam” は、相手の名前、性別、肩書などがわからない場合に、「ご担当者様」という意味で使われることがあります。
しかし近年では”Dear FIRST NAME”、”Hello FIRST NAME”を用いるケースが一般的です。
“Dear Sir or Madam”は、DEI(後述します)の観点からSirにもMadamにも当てはまらない人(ジェンダーニュートラルの人々)を除外している言い方と捉えられ、現代では避けたい表現となってきています。
この記事では、名前も性別も知らない場合、名前は知っているが性別がわからない場合など、状況に合わせて解説していきます。
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目次
1. 名前も性別も知らない場合の宛名はどうする?
– Dear Sir or Madamはもう古い
– 近年注目のD E Iを考える
– To Whom It May Concernも実は違和感?
2. 名前だけ知っていて性別を知らない場合
– Mr. Ms. をつけても丁寧とは限らない
3. ついでに気をつけよう。見知らぬ人に対する代名詞の使い方
名前も性別も知らない場合
例えば、求人広告に応募する時、ホテル等の業者で予約を取りたい時等、メールの宛先が個人ではなくmailbox宛のメールアドレスが指定されていることがありますね。例えば・・
hiring@companyname.com
info@restaurantname.com
reservations@hotelname.com
こう言ったmailbox (or group mail)の場合、担当している人の名前も性別も一人なのか複数なのかすら分かりません。
生徒さんのメールをチェックする時によくみられるのが、
「Dear Sir or Madam」、または「To Whom It May Concern」という書き出し。
はい。少し前までは Dear Sir or Madam これでOKでした。でも2022年現在ではこの表現は「古い」のです!
皆さんD E Iという言葉を見かけたことはありませんか?
D E IはDiversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)のアルファベットを取ったもので、近年注目され、色々なところで目にするようになりました。そう、以前「Miss. Mrs.は古い!?ジェンダーへの気遣いと英語の敬称」や「She’s blackと言っても大丈夫?差別や失礼にならない人の形容方法」などでも取り上げてきましたが、近年はさまざまな考え方、価値観、ダイバーシティを受け入れようという考え方が急速に広まり、人々の常識や認識が大きく変わってきています。
今回の Dear Sir or Madamですが、特に問題なのはD E IのI「Inclusivity」。Inclusivityは「何者も排除しないこと、あらゆる人を受け入れようとすること」という意味です。その観点からSirにもMadamにも当てはまらない人(ジェンダーニュートラルの人々)を除外している、includeしていない言い方なので現代ではもう避けたい表現なのです。
“To whom it may concern”
一昔前までは送り先の担当部署や担当者が分からない場合に、宛先の書き方としてよく使われており、決して失礼には当たりませんが、カジュアルな北米では実はかしこまりすぎ、やや古い感じがするのです。
いずれも時代遅れな印象で何かと違和感があるんですね。
ではどのように書き出すのが良いでしょうか?宛名はなくして本文からスタートする?私なら例えばこのように書き出します。
Hello,
I hope you can help me. I made a reservation on the website and was expecting an email confirmation but I haven’t received anything yet.
そう、Helloだけで十分なのです。
これではどうしても物足りないなと思う場合、相手の部署、もしくはタイトルを書く例もありますね。
Dear Reservations Department,
Dear Hiring Manager,
なんと偶然!今日づけのFinancial Timesにはこのような記事がありました。ご興味がありましたらみなさんも是非お読み下さい。(Financial Timesは有料記事です)
The strange death of the salutation
Firing off an email without an opening greeting is becoming more common but is still unwise
最近はHelloも、なんの挨拶もなく、いきなり本題に入ってしまうメールも増えているという話です。確かにビジネス界では極力無駄を省くという事がとても重要視されていますが、この著者はなんらかの形の「Hello」は必要だと書いています。
そこにはこう書いてありました。
“To Whom It May Concern” and its close cousin, “Dear Sir or Madam”, are not the worst way to start a letter to, say, someone in a tax office. But it is best to avoid either if possible, especially if writing anything like a job application cover letter.
(訳 : “To Whom It May Concern” や “Dear Sir or Madam” という書き出しは、例えば税務署の人に送るメールの書き出しとしてはそう悪くないでしょう。しかし、特に求職のカバーレターのようなものを書く場合はできればどちらも避けた方がよい。)
やはりTo Whom It May ConcernもDear Sir or Madamはなるべく避けるべしと書いてありますね。
名前だけ知っているが性別を知らない場合
「丁寧だから」とMr.や Ms. を付けたいと、インターネットでその人を検索をしたり、名前から女性か男性かを予想しようとする人もいます。しかしHarumiも女性が多いけれど男性もいるし、Jamie、 Alex、Jean 等の男性にも女性にも使われる名前もあれば、馴染みないアジアやアフリカの名前もあったりして、予想が外れてしまうこともありますね。
またまた言いますが今はジェンダーニュートラルの時代。一応性別が分かり、Mr. とMs.をつけてみても、実はそれは本人が希望する呼ばれ方でない可能性もあるのです。
北米では概してどんなに偉い人でもファーストネームで呼ぶのが普通なので、メールの頭にも極シンプルに
Dear FIRST NAME,
Hello FIRST NAME,
まあ勿論例外があって、大手企業のC E Oをいきなりファーストネームで呼ばないケースもあるかも知れませんが、もしもファーストネームで呼んでもそう驚かれもしないのです。
ついでに気をつけよう。
見知らぬ人に対する代名詞の使い方について
以前のブログにも触れましたが、昔は性別が分からない時には三人称の代名詞 HE をデフォルトとして使うのが普通でした。ですが今は違います。分からない時はhe or she/him or herを使ったり、よりWOKE (aware/sensitiveの意味)なのは、ジェンダーニュートラルのthey/themを使う事。
例えば
I will wait to hear from your manager.
Is he or she going to get back to me this week?
を更にジェンダーニュートラルにするには
Are they going to get back to me this week?
対象が一人でも、they AREを使います。
最後になりますが、Harumiはアジアの名前なので、日本に馴染みのある人でないと性別は分からない人が多いので、最近は名前の後にPREFERRED PRONOUNの(she/her)を書いています。以前は取り引き先相手が誤って私をMr. Yamamotoと呼んで恥をかかせてしまう事がないように、敢えてメールのsignature(署名)の名前の後に(Ms.)と入れていたりもしていました。
それでもMr. Yamamotoと書いて来る人がいました。これは私を勝手に男性と思い込み、それが正しいかどうか大きなヒントのある署名の部分を見ようともしていない証拠ですね。頭に来たのでそのメールの対処は後回しにしてました(笑)
メールの書き出し一つとっても、一昔前とは人々の常識や認識が大きく変わってきているのですね。
皆さん、ぜひ今日からD E Iを意識して、知らない人宛のメール作成を気をつけてみてくださいね。
質問、コメント、お待ちしています!