Live Englishオンライン英会話の皆さま、こんにちは!スタッフのRikoです。
さていきなりですが、英語学習中の皆様は、AIの文法添削ツールって使われてみたことはありますか?翻訳ツールは業務などでお急ぎのときに使われる方も多いようですが、今は自分で作成した文章をAIが添削してくれる便利なツールもありますね。
Live Englishの生徒様の多くは、お仕事で英語を書かれることが多く、また海外留学準備でアカデミックライティングの練習をされている方も多くいらっしゃいます。
急いで書いていると頻繁に起こる文法のケアレスミス。自分のよく間違う文法のポイント。皆さんはどのようにチェックをしていますか?
ちなみに以前の記事、日本と海外では大違い!?アカデミック論文の書き方の重要ポイントでもご紹介した通り、英語圏の大学や大学院での学術論文では文法は最重要項目のうちの一つです。日頃からライティング、文法の精度をあげておくことは、総合的な英語力アップに欠かせません。
海外大学への留学生界隈で非常に重宝され、よく使われているAI文法添削ツールに、Grammarlyやquillbotがあります。
限られた長さであれば無料でAIに添削してもらえ、また、有料であれば字数制限なく文法の手直しをしてもらえるというものです。
自分の書いた文章を書き込んだり貼り付けたりすると瞬時に間違いや不自然な表現を人工知能が判断し、より適切な英語表現に直してくれます。お仕事で時間がない時などは重宝しそうですね。
ただAIと聞くと
「実際にこれらは正確に添削をしてくれているのか?」
「AIに任せると教科書的な堅苦しい表現に変わってしまい、もともと自分が書いた英文の方が自然な表現になっていないか?」
という点、非常に気になりませんか??
ということで、今回はLive English講師協力のもと私が実際にAI添削を使用し、AI文法添削ツールはどこまで正確!?本当に役に立つの?というテーマで検証を進めていきたいと思います。ぜひ最後までご覧ください!
AIによる英文法の添削ツールが正確に手直しをしてくれているのかどうか、また、かえって不思議な表現になっていないかどうかを検証してみました!実際に文章を入れて試してみると人間が忘れがちな部分を正確に添削してくれるため便利な一方、実はAIにも添削に得意な部分と苦手な部分があるようです。複数形や3単現のs、接続詞を使った文章とto不定詞を使った文章の書き換え、前置詞の使い方などはすぐに間違いを見つけてくれます。しかし、最新の情報についてや交互表現、文脈を理解するというようなコミュニケーション能力に対してはまだ頼り入れない部分があるようです。今回は、実際のAI添削結果もお見せしつつ、Live English講師のヘルプのもとAI英文法添削ツールの得意不得意と、効果的な使い方について解説をしていきます。
最初に結論を言ってしまいますが、複数のAI英文法添削ツールを使用してみて分かったのは、使い方次第で英語学習者の皆さんの助けになるということです。裏を返せば、AIが添削した内容全てを鵜呑みにしてしまうと危険かもしれません。AIを頼るにせよ、自分の意図したい内容と合っているかどうかをいつでもクリティカルに考え、文章が正しいか伝わりやすいニュアンスであるかは自力で確認する必要があります。
以下は私がサンプルで作成した英文をAI添削にかけたものの一部です。文章を添削ツールに入力しどこをどのように間違えていて、代わりに置き換えなければならない単語がどのように指摘されるかを確認してみました。
まずは少し気になる点が残ったところをご紹介します。
Case 1: やや疑問?な関係詞のコレクション
原文にはwhichという関係代名詞を使用して情報をさらに付け加えています。ただ、AIツールはthatを使うようにと訂正をしてきました。
しかしLive Englishの講師に確認をしたところ、どちらでも文法的間違いはなく大きな意味の違いもないことがわかりました。こういった細かい違いは、英語非ネイティブの私たちでは、なかなかニュアンスや使い方を判別するのは難しいところでもあると思います。
関係詞の微妙なニュアンスの差。whichでもthatでも文法的な間違いはない。
Case 2: 文構造や表現のコレクション
さらに前置詞だけでなくまるっきり文構造を変えるよう提案があった。
これについて講師は「原文よりも提案文の方が食べ物に関連していることが強調されている」とのこと。
同じ文章を用いたこれらの2つの例によると、細かな文法の部分だけではなく文構造までもチェックしてもらえることがわかりました。しかし、実際のところCase2に関しては本当にその点を強調する必要があるのかについて考える必要があります。特に”food”について強調させたかったというわけではないので、提案の通りだと少し私の元々のニュアンスと差異がありますね。提案をまるっと鵜呑みにせず、この文脈と自分が表現したい意図にしっかりフォーカスをおく必要があります。
他にもたくさんの文章を細切れで入力し検証してきました。
どんな時も3秒以内には文章の添削を終え、ミスがあるところは赤線で表示されました。結果、そのうちのほとんどが、
・スペルのミス
・commaを追加しなければならないポイント
・三単現のsの不足
・不必要な前置詞
という内容でした。皆さんも夢中になって長い文章を書いていて、後で読み返してみるとついつい抜けてしまうのが複数形だったり、冠詞の欠落、不自然な前置詞、3単現のsだったりしませんか?簡単な文法ミスはここぞとばかりに拾ってもらえました!
こういった細かなミスは相手に意図が伝わらないことはないですが、読み手に不自然な読みにくさを与えるためできる限り無くしておきたいところです。
例としてご紹介した文章の他にも、今までに自分の試験対策の際に練習で書いた文章等も入れてみたのですが、接続詞を使った文章とto不定詞を使った文章の書き換え、前置詞の使い方などなど…特に、fragment(従属節のみになってしまっている文)にはかなり厳しいようです。
今回の検証を経て、私は勢いで文章を書いていると未だに助動詞を含む時制の一致を忘れるということに気づけたので、自分の文法ミスの傾向を認識するのにはとても良いツールですね。
余談ですが、添削サイトによっては以下のように、カジュアルな英語表現やビジネスに寄った表現する設定があったり、またメールやアカデミックライティングなど目的を選んだりということもできます。皆さんのAIツールの設定次第では、若干異なるように添削がされるかもしれません。
一方で検証の結果、AIのチェックが難しい部分や、訂正前の方が正しい表現ということもいくつかありました。AIにも少し苦手な部分があるようです。
こちらでも実際の例を用いてご紹介します。
Case 3: 意外に単純な文法ミスも
講師によると、この前置詞”on”は抜いてしまってはいけないもの。
私は今までにこういったAIにほとんど文法ミスは見られないのではないか?と予想していましたが、意外と単純なミスもあるものですね。
ついでにもう一つ。私の書いた文章で、とある団体名(固有名詞)に対し関係代名詞の非制限用法(comma+ who/whichなど)をつけた文章がありました。その際、先行詞が団体名だったにもかかわらず、”,who” と直されている部分がありました。(文脈を考慮すると団体名を人というよりもグループ、企業として捉えるため本来であれば”, which”を使うのが正しいところです)
最近の固有名詞に対するインプットがAIにはなかったため、このような結果になったのだと思われます。
もともと現在のAIの技術には、最新の情報を取り入れるのが少し難しいようです。何でも質問に答えてくれるAIボットに「今日のニュースは?」と聞いてもWeb上のニュースサイトの提案しかしてくれないような場合があるのと同じです。
また、英語における口語表現まできっちり直してしまう傾向があるように感じられました。書き手がわざと、”and”を抜かして単語を羅列するような場合や、気分で単語を省略して書くときにも訂正されてしまう可能性が高いです。
きっちりと書くことで生まれる硬さをなくすために、わざとくだけた形で書くような場合でも訂正をされてしまうことがあります。他にも口語らしい表現として、文頭のbutのように、本来であれば前後に主節を伴うような接続詞も文頭につける場合がよく見られますが、これもhoweverに訂正されていました。話し手・書き手の雰囲気やニュアンス、オーディエンスやその場を意識したニュアンスの解釈はAIにはどうしても難しい分野なので、スピーチ原稿などの添削には特に要注意かと思います。
4. 結論 : 使い方次第で学習効率アップ、ただコミュニケーションには不十分
結論、AIツールは使い方次第で英語学習はもちろん、お仕事場での業務効率アップに役に立つようです。
ケアレスミスがどれだけあるかや、自分が英文法においてどのようなミスを多くしているかという傾向や癖を理解する良い機会になります。しかし、「最新の情報」「人間らしい表現」という点では100点満点にはまだまだ辿り着いていないようです。
これらは◎
● 単純な文法ミス
● スペルのミス
● ケアレスミスをなくす
● 自分のミスの癖を知る
これらは▲OR×
● 最新の話題の際には注意
● 細かなニュアンスの理解
● 口語表現の正しい理解
● オーディエンスや読み手の受ける印象への注意
英語はただのアルファベット、言語ではありません。文法として合っているから良いというものでももちろんないですよね。人と人を繋ぎ、深く理解し合い、時にはダイレクトにまたインダイレクトに、その場の空気感や相手、状況、自分の立場、そのコミュニケーションから求めている結果や影響を考慮したコミュニケーションであることが理想だとすると、AIはまだまだ人間には及ばないのかもしれません。
実際に学校やビジネスで英語でやり取りをするときには、意味や語法、ニュアンスの精度を調べる時間の余裕や、文法的にミスがない正しい文章かどうか確認する時間がないことがほとんどです。ですので、やはり日頃から自分の力で自分の伝えたいことに一番近いニュアンス、表現、文法で表現をするという訓練をしていくことが必要です。自分の学習や業務のほんのサポート程度に添削ツールは使うようにしたいものですね。