Live Englishオンライン英会話の受講生のみなさん、ブログではお久しぶりですね。カナダ人講師のHarumiです!
2021年に、「Miss. Mrs.は古い!?ジェンダーへの気遣いと英語の敬称」についての記事を書きましたが覚えていますか?「ジェンダーに対する態度の変化にどう対応していけばいいか?」と生徒様に質問をされて「Preferred Pronouns (希望する代名詞)とは何か?」を書いた記事です。
早いもので、それから4年の月日が経ちました。
2025年の今、更にこのテーマに発展があります!今日はこのテーマの最新版をみなさんにお話したいと思います。
以下、お話することは私の住むカナダ、トロント市で言えることで、より保守的なアメリカ、特にアメリカの内陸部 [共和党の優勢な州] にいくと、このようなジェンダーに対する意識はかなり違います。「女は女、男は男!」というような反発を聞くことも多くなりました。大統領選のあたりから、日本でもニュースをよく目にしましたね。非常に残念なことに、LGBTQ+市民には、また厳しい社会に戻りつつある地域もあります。
(※この投稿は、2024年にアメリカの新大統領が就任する前に書かれました。新政権は多様性の進展を急速に解体しようとしており、そのためこの記事の内容は2025年3月の現実を反映していないように感じられるかもしれません。企業は、変化に対応するのに苦労しています。年次報告書からDEIに関する記述を削除したり、従業員のメール署名から希望する名詞を表記する事を禁止したりしています。カナダはアメリカではないが影響を受けざるを得ません。非常に残念なことです。by Harumi)
1. まず、he/sheの代名詞とは?
a. バイナリー 三人称単数の代名詞 he/she
ご存知の通り、英語では、一度固有名詞や何らかの形で対象をする人を特定したら、次にその人物について言及する際には代名詞を使うことがほとんどです。
My teacher、Susan、Mr. Gupta、Mom、His kids、Their team など、対象の人を一度はっきり特定したら、次のセンテンスでは代名詞の he/she/they を使うのが自然。
“You have a cousin in the US? Where does your cousin live?” とは言いません。
二つ目の your cousinは heかshe に置き換えないと、とてもくどく不自然に聞こえるのです。
ですが、cousinには男性も女性もいますよね。
He/sheはジェンダーの伴う代名詞ですが、性別がわからない場合はどうしましょう?
実は昔は性別がわからない場合は、男性の代名詞 (he) をデフォルトに使うのが普通でした。しかしその後、少しずつジェンダーへの意識が変わっていき、1980年代から2010年あたりまで、男性だけを指す代名詞を避けるために、he or she、書くときには S/he、もしくは heとshe を交互に使うようになりました。
では、2025年の今はどうなったのでしょう?
b. 三人称単数の he/she の代わりにノンバイナリー、ジェンダーニュートラルの「They」
今は “You have a cousin in the US? Where do they live?”と聞くことが多いです。
考え方の基本として、本人の希望を聞かずに he や sheを使うのは、その人にアイデンティティーを押し付けているのと同じなのです。なので分からないうちは無難に they を使う事が一般的になっています。
昔は見た目が女性っぽいから she、男性っぽかったら heと、印象を受けた第三者が呼び方を決めていましたが、2025年の現代では外見とは関係なく、「自分のジェンダーは自分が決める」という考えになりました。”I identify as…” という表現をよく聞くようになりました。
見た目はともかく、”What are your pronouns?” と聞いたり、聞かれる場面が増えているのです。
みなさんもBinary, Non-binary という言葉を聞く事もあるかもしれませんが、「バイナリー」は0や1のように2つの明確な選択肢しかないことを意味します。AかB、男か女。
ですが、現代社会にはその中間にいる人々も認められています。現在は、he, sheとは他にtheyをジェンダーニュートラルの三人称単数として使われる事が多くなっています。
対象が一人でも、they are, themselvesと複数形と同じ使い方をします。Theyは複数形と文法で習ったみなさんには違和感があるかもしれませんね。
メールの署名やLinkedinのプロフィールでも (he/him, she/her, they/them) のように本人の希望する代名詞が書かれていることもあります。また、she/theyのように、代名詞を組み合わせて使う人もいるのです。
c. 混乱を招くことも!?
しかし、時に単数の they を使うと混乱を招くこともあります。対象が一人であるのか、複数なのか、特に年配の人たちは時台の流れに追いついていない方も多いのか、以下のようなコメディ・スキットが多くあります。
(これは既に5年ほど前のものでカナダでコンビニエンス・ストアを経営する韓国からの移民家族を描いたKim’s Convenienceからのものです)
このスキットで使われているフレーズ:
お店に訪れたお客さん:I just don’t identify as male or female. Just personally I’ve felt like I’ve lived somewhere in between. So I go by “they” or “them.” (私は男性女性のどちらでもないと感じています。どちらかと言えばその中間にいると感じています。 だから「they」や「them」を使っています)
オーナーの娘さん:They’re gender neutral. (この人はジェンダーニュートラルです)
オーナー:Who? I only see one person. (誰が?一人しかいないんだけど?)
もともと日本語の主語は単数か複数かが曖昧、会話の中では主語が省略されることもあるので日本人にとってはそう抵抗のない現象かもしれませんが、いかがでしょうか?
次回のパート2では外国人と接する機会が多かったり、海外に行く事の多い生徒さんに知って頂きたいことをお教えします!お楽しみに!